不動産の界隈でもテクノロジーの活用が活況です。
巷で不動産テック(ReTech)と言われる分野ですね。
私も不動産に関しては興味を持っていますから、色々な新しいツールを試しています。
今回は、不動産投資の分析に役立つとされる「Gate.」を使ってみた感想です。
Gate.の概要
- リリース︰2017年6月
- カテゴリ︰不動産投資分析
- 運営会社︰リーウェイズ株式会社
投資用不動産の価格査定をAI等のテクノロジーで実現しようというサービスですね。
数千万件にも及ぶ大量の不動産ビッグデータを統計分析して、不動産の価値算定をアルゴリズム化したということだと思います。
価格と賃料が算出できるということは、不動産を買ったあとのキャッシュフローが概算できますから、投資に対するリターンまで予測することができる、というのが謳い文句でしょうかね。
感想・レビュー
不動産投資は、得てしてどんぶり勘定で実行されがちです。
一般的に表面利回りとキャッシュフロー計算くらいはみんな確認するでしょうけど、その収支計算自体に不確定要素が多いんですよね。
- 空室率の想定は甘くないか
- 賃料の想定は楽観的すぎないか
- 出口戦略は適正で現実的か
いろいろ考えないといけないことはあります。
しかも、空室率や賃料や将来の売却価格なんてのは、数字をちょっといじるだけでキャッシュフローが大幅に変動してしまいます。
ですから、こうした重要な要素をどんぶり勘定の感覚論で判断しちゃうのは滅茶苦茶危険な行為だと思うんですよね。
そこで、マーケットのデータを大量に集めて分析するGate.のような投資ツールは、確度の高い収支想定をするために非常に有用な道具になりうるのです。
ビッグデータによる将来予測は可能なのか
しかし、1点、指摘しておきたいことがあります。
Gate.ではビッグデータによる将来のキャッシュフロー予測にまで言及がなされていますが、いくら数千万件の事例データがあったとしても、正確な将来予測は無理だろうということです。
そもそも、数千万件の物件情報があったとしても、それは地理的・物理的に大量のデータがあるだけで、時系列的なデータは十分ではありません。
たとえ10年分のデータがあったとしても、所詮は3,650日分程度。この程度のサンプルでは、いくらAI的な統計分析を用いたところで長期にわたる金融市場やマクロ経済の変動をまともに予測することなどできないでしょう。
不動産は長期投資であるがゆえに、そうしたマクロな金融経済動向の影響が非常に大きいわけなんですけどね。
1,000年分くらいの正確な時系列経済データでもあれば多少役に立つ分析結果が得られるかもしれませんけど、まあ現実的な話ではありません。
なので、「AIによる将来予測」みたいな話は、基本的には眉唾だと思って期待しない方が良いでしょう。
それはこのサービスに限った話ではなく、投資に関する一般論として認識しておくべきことだと思います。
良いところ
- 画面のレイアウトが綺麗
- 「現在時点の」相場データの正確性は高そう
改善してほしいところ
- なんかサイトに誤字が多いような……(情報の信頼性に関わる)
- 分析ツールがスマホ非対応なのは今の時代よろしくない
- サイトがちょっと重い
Gate.の総評
不動産投資の相場分析には使えると思います。
でも、参考になるのは現時点での価格や利回りまでであって、将来予測まで含めた「全期間利回り」は私だったら参考にしません。
(……ネガティブな結果がでていたらちょっと気にしますが)
まぁ、ちょっとまだサービス自体が未完成な感じもありますので、少なくとも私が今回使ってみた個人向けサービスについては本格活用にはまだ早いかもしれませんね。