Web漫画の隠れた名作 ランキングに現れない凄い作品をご紹介

前回、「Web漫画のおすすめ5選」ということで、私がどハマリしたWeb漫画作品を5つご紹介しました。

このラインナップを見て、こんなメジャーな作品はもう知ってるよ、と思われた方もいらっしゃるかも知れませんね。

わかります。前回は、単純に私が好きな作品を取り上げたので、結果的にメジャー作品ばかりになってしまいました。

しかし、今回はあえて有名どころを避け、私が凄いと思う作品を1作品だけご紹介したいと思います。

正直に言えば、前回の記事は前座に過ぎません

埋もれた名作を紹介するという意味においても、個人的に紹介したい気持ちにおいても、今回紹介するWeb漫画の方が本命です。

すなわち下記の作品は、私がWeb漫画において考える「もっと評価されるべき」作品なのです。

アルティメットシュワルツシルトチリ(ry

これは、Web漫画の中で私が最も衝撃を受けた作品です。

「衝撃を受けた作品のひとつ」ではなく、「最も衝撃を受けた作品」です。つまりナンバーワンです。

しかしながら、その作品価値に比べて、本作はあまり一般ウケしていないように感じています。

理由はいくつかあって、なんとなく読む気が起きない気持ちも理解はできるんですよね。

そこで、最初に、この作品を楽しむに当たっての注意点を指摘しておきたいと思います。

何このタイトル

タイトルは”(ry”まで含めて正式なタイトルです。

アルティメットシュワルツシルトチリ(ry

意味が分かりませんね。

しかし、後述しますが、この意味不明なタイトルは伏線ですので、気にしなくて大丈夫です。

物語を読んでも最後までこの言葉の意味は分かりませんが、このタイトルが何であるかは分かります。

絵は上手くはないがシンプル

アマチュアのWeb漫画にありがちなことですが、絵はあまり上手くありません。

絵柄に惹かれて読んでみようとは考えにくいのが、この漫画の訴求力の弱さでしょう。

しかし、絵に関して「雑」と「下手」は違います

「雑」は、作者のやる気の問題です。ラフな絵でぐちゃぐちゃしていたり、描写が適当で何が描いてあるのか理解できない状態です。

対して「下手」は、技量の問題です。描くべきことをしっかり描いているけれど、画力が高くないので見栄えがよくないだけの状態です。

本作の絵は、どちらかといえば「下手」寄りです。しかしこれは、「雑」であるよりもはるかに良いのです

この作品は、絵が「雑」で見難いというわけではなく、必要な描写は必要十分にしっかりと描かれていますので、ストーリー展開を追うのに読みづらさを感じることは(あまり)ありません。

単に、絵がキレイではないというだけです。その程度であれば、慣れれば何の問題にもなりません。

むしろ、コマ割りなどの漫画構成のセンスは高いと思っています。

好意的にみれば、絵がクドくないのでシンプルで読みやすい作品といえますね。

意図的な厨二病的世界観

正体不明の謎の人物、意味深で実はほとんど意味がない謎の発言、難しい漢字を使った技名とルビ、そして強大な世界を相手に戦う少年少女。

こうした要素がふんだんに盛り込まれている物語は、よく厨二病と揶揄されます。

中学二年生くらいの思春期の子供が、一時期こういう要素に傾倒する傾向があることからそう呼ばれます。

私は、下記の記事でブギーポップを紹介しましたが、これなんかは厨二病を助長する元凶のひとつかもしれません。

そういった要素が本作にもいたるところに散りばめられています。

本作を少し読んでみれば、冒頭からそんな感じなので分かるかと思います。

一般的に、素人がつくる厨二病感あふれる創作物は稚拙であったり独りよがりであったりします。

謎が謎のままで答えが用意されていなかったり、作者の頭の中だけで壮大な設定が成立していて、それが読者には全く伝わらないというような状態です。

そういう感じだと、読む気が失せるんですよね。

しかし、この作品はそうではありません。

序盤から繰り出される明確な厨二病設定とその展開は、この物語においては計算し尽くされた伏線にすぎません。

あからさまに謎な雰囲気を漂わせる登場人物の正体や設定は、物語の後半に至るにつれて見事に伏線回収されていきます

そういう意味で、物語の構成に適当さはないので、安心して読み進めて貰えれば大丈夫です。

パクリキャラとか、気の迷いとか、作者都合による登場人物の抹消とか、適当さが否めないんだけど……?

大丈夫です。

それらはすべて伏線です

物語序盤の展開について

主人公レイドが、邪器眼と呼ばれる強大な力を持つヒロインのメルクレンテと出会い、旅をする感じの展開です。

敵対組織カノッサの最高戦力ANGELとの戦闘などはなかなか熱くて良いと思います。

なお、11章から19章までの「気の迷い」編については、作者コメントにもあるように飛ばしても本編に影響はありません。

要は、ある村に立ち寄って仲間を調達する話です。しかし、ここで仲間を増やしたにも関わらず、後で作者都合により突然なかったことにされるので、本当にストーリー的にいらないエピソードだったようです。

作者は1章の冒頭で32話までショートカットできると書いていますが、さすがにそれだと話の展開が分からないですし、いろいろと台無しなので、

「1〜10」→「20〜最後まで」

の順番で基本的には最初から読むのが良いと思います。

中盤から始まる怒涛の超展開

そして、この作品の真骨頂は中盤から始まります。

だいたい30章を過ぎた辺りからです。

ここから始まるのは正真正銘の超展開です。想像を超えています。

通常、「超展開」とは悪い意味で使われます。これまでのストーリーをぶち壊しにするような急激すぎる(そして誰も望んでいない)物語の大展開ですね。

しかし本作の超展開は、もともと完全に計算されていた上に、これまでの伏線を怒涛の勢いですべて回収する神がかった超展開です。

実際、最初から読み返してみると、物語前半の謎めいた伏線の全てが後半の展開に繋がっています。

完璧に整合が取れているにも関わらず、想像をはるかに超えた展開であるというのがこの作品の超展開です。

おそらく、商業作品ではなかなかできないでしょう。Web漫画だからこそできる意欲的な物語構成です。

物語の結末

この物語の結末は、バッドエンドというべきでしょう。

ですが、終わりかたは非常に上手くまとまっています。バッドエンドであることを忘れそうなくらいのきれいな結末です。

でもまぁ、どー考えてもこれはバッドエンドだよなぁとは思いますが。

まとめ

そんなわけで、この作品は、個人的には非常に意欲的で凄い作品だと思うのですが、なかなかWeb漫画の表舞台に立つほどの評価はされていないような気がします。

もったいない。もっと評価されるべきです。

なかなか最初はとっつき難いかもしれませんが、全体のストーリー展開は圧巻です。

この機会に、ぜひ、最後まで読んでみて欲しいと思います。