A4サイズの原稿をパソコンで作成するとき、縦 × 横のピクセル数をいくつに設定すれば良いのか悩む場面があります。
結論からいえば、とりあえず以下のように設定しておけばOKです。
A4サイズ: 縦3508 × 横2480ピクセル(解像度 300dpiの場合)
さて、突然「解像度 300dpi」なるフレーズが出てきました。こいつが厄介者です。
「紙の大きさ」と「パソコンの画面上の大きさ」を比較するときには、必ずこの解像度が関係してきます。
面倒であればとりあえず、上記のように、縦「3508」ピクセル × 横「2480」ピクセル、解像度「300」dpi の3つの変数さえ入力すれば良いです。
ただ、これが何を表しているのかが分かれば、解像度の数値を変更した場合にも簡単に正しいピクセル数値を計算できるので便利です。
解像度の意味
ここでいう解像度 (dpi) とは、要するに画面におけるドットの密度です。
ドットとピクセルは同じ意味と捉えて差し支えありません。
dpi は “dot per inch” の略で、1インチあたりのドット数を意味しています。
1インチは、2.54cm です。
上記で例示した 300dpi とは、1インチ (2.54cm) の長さに 300個のドットが並ぶレベルのきめ細かさを表しています。
さて、A4サイズは、センチメートルで表すと 29.7 × 21.0cm です。
インチにすると、だいたい 11.7 × 8.3インチです。
11.7インチ × 300dpi = 3510個のドット
8.3インチ × 300dpi = 2490個のドット
最初にお示しした、3508 × 2480 とかなり近い数値が出ました。
ていうかなんでズレてるのかというと、cmからインチに換算したときに小数点第二位以下を私が切り捨てたので(説明の簡便のためです)、そのぶんの誤差がでています。ちゃんと細かく計算すれば、ちゃんと一致します。
余談ですが、解像度 (dpi) はなんで「cm」じゃなくて分かりづらい「インチ」なんか使っているのかというと、コンピューターの発展がアメリカで進んできたからですね。アメリカの長さの単位は日常的にもインチです。
ついでに、アメリカでは A4という様式も一般的に使われていません。レターサイズという微妙に異なるサイズが使われています。文化差ですが、ややこしいですね。
解像度によるA4サイズのピクセル数
さて、上述のとおり、解像度はドットの密度を表します。
300dpi では「3508 × 2480ピクセル」だったA4用紙は、それでは、600dpiならどうなるでしょうか。
同じ長さ (1インチ:2.54cm) を表すのに2倍の 600ドットが必要になるわけなので、A4サイズを表すために必要なドット数も同様に縦横2倍になります。
「7016 × 4960ピクセル」です。
結構、単純な話ですね。
適切な解像度はいくつくらい?
おまけですが、そもそも解像度はいくらくらいの値が適切なのか、という疑問がわくかもしれません。
解像度の数値が高いほど、画面のドット数が増えてきめ細かくなりますから、理屈の上では高ければ高いほど綺麗になります。
ただし、実際には、300dpiもあれば、人間の目にはほとんど見分けがつかないと言われています。
先ほどの話の通り、300dpi では 2.54cm の長さの中に 300個のドットが詰まっていますから、ドット1つの大きさは 0.08mm 程度です。ミジンコよりも小さいです。
これが、600dpi にして 0.04mm の細かさになったところで、A4版くらいの大きさの画像になると基本的に見分けがつかないわけです。
顕微鏡で見るわけでもあるまいし。
見た目にほとんど差がないのに、ファイルの容量は激増します。300dpi から 600dpi に解像度を上げると、縦も横もドットが2倍になりますので、2倍 × 2倍で総ドット数は4倍になります。
単純計算で、ファイルサイズも4倍になります。
見た目にほとんど違いがないのに、ファイルサイズが4倍になるのは容量の無駄使いといえます。
こうしたことから、一般的には 300dpi が最も汎用性の高い解像度として使用されています。