2017年12月6日、NHKの受信料制度が合憲であるという最高裁判決が出されました。
テレビを購入しただけで自動的に受信料契約の締結義務が生じるという、本質的に狂った契約が司法によって認められてしまった形となります。
社会的に与える影響が大きいがために、おかしいことに対しておかしいと言う本来あるべき思い切った判決が出せなかったんですかね。忖度裁判ですねー。
そもそもこのNHK受信料契約って、テレビを買うときには説明とか何もないんですよ。
本来であれば、こんな強引で継続的な支出を伴う契約が義務化されているのであれば、テレビの販売時点までに販売者の責任でお客さんに丁寧な説明があるべきですよね。重要事項ですから。
そういう説明義務を制度化すらしないで、なし崩しで受信料契約を結ばせようとする姿勢はもはや悪徳業者と何も変わらないと思います。
最高裁判所の判決を受けて
制度的な欠陥は多々ありますが、いずれにせよ最高裁判決は出ました。この判決を受けて、NHKの受信料制度に不満を持つ善良な国民が取るべき手段はあるのでしょうか。
最も分かりやすい方法は、テレビを設置しないことです。テレビをそもそも見ないのであれば、いっそ捨ててしまえば良い。これは、今回の判決に関わらず元々ある方法ですね。
余談ですが、テレビを持っていなくても、NHK受信料の集金屋は訪問してきます。しかも、当たり前のようにテレビがあることを前提でお金を払わせようとしてくるんですね。
テレビなんて無いと言えば、「スマホのワンセグも受信料の対象になります」とかいって食い下がってきます。しつこい。いまどきワンセグなんて付いてるスマホの方が少数派でしょうに。
いずれにせよ、テレビが設置されているという根拠もなく受信料契約を強引に結ばせようとしてくるんですから、アホかと思います。
引越しや転居の直後のタイミングに、こういうインチキ訪問は多いですね。
しかしまぁ、こういうのは問題外の話です。相手にしなければ良いだけ。
NHK受信料制度に腹を立てている人の多くは、「NHKなんか見ない」けど「民放の番組は見たい」という人なんだと思うんですよね。
1秒も見ない自称公共放送のために無駄金を支払いたくないという心情は、一般的な感覚からして当然のことです。
そうした人は、今回の最高裁判決をどのように受け止めるのが賢明なのでしょうか。
最高裁判決の分析
まずは、今回の最高裁判決の内容を要点を確認してみましょう。
今回の最高裁判決において判断が下されたのは、放送法に定める受信料制度が憲法に違反しないということです。まずは、既存の法律が憲法違反ではないということが確認されたのですね。
次に、受信契約に応じない人に対しては裁判を起こして判決が確定すれば受信契約が成立し、その受信料の支払い義務はテレビ設置の時点から発生する、ということです。
この判決内容からは、以下のような結論が導けます。
NHK側から受信契約を成立させるには裁判が必要
もともとNHKは、「NHK側から受信契約を申し込んだ時点で契約は成立する」という、「契約」のそもそもの意味を問い正したくなるような主張をしていたようですが、この主張は流石に退けられました。
法律の大原則は、「契約」とは「申込」とこれに対する「承諾」があって初めて成立するものです。
このため、NHKは、受信契約を拒む人に対して強制的に契約を結ばせようとする場合には、その都度個別に裁判を起こさなければならないということになります。
こうなると、NHK側は結構な手間と費用を要するんですね。そのうえ、もともと今回の最高裁判決がなくても、裁判まですれば受信契約を成立させることはこれまでもできたわけですから、実はこの点について今回の最高裁判決によってNHKに有利に変わったことは無いのですね。
NHKはテレビ設置の時点を立証しなければならない
さて、次に重要なのは受信料の算定開始時点です。今回の最高裁判決では、受信契約の成立前のテレビ設置時点から受信料の支払い義務が発生するとされました。この点はNHKに有利な判決内容となっています。
しかし、NHKが一般家庭におけるテレビの設置時期を立証することは、容易なことではありません。
なにしろ、NHKの職員やその委託業者は、家の中に強制的に入ることはできません。NHKは民間企業にすぎませんから、税務当局や捜査機関のような強制捜査の権限は無いのです。勝手に家の中に立ち入ったら違法です。
じゃあ、どうやって調べるんですかね。
結局、無理なわけです。よくある「衛星放送の申込みをNHKに送付しちゃってバレた」とかいううっかりミスがない限り、NHKにテレビ設置の有無を確認する術はありません。
「テレビは電波を発しているので分かる」という話は悪質な嘘ですし、どっかの業者から情報を買っていたりしたら個人情報保護に反する違法な証拠収集ですよね。
この点からも、NHKが個別に裁判を起こして受信契約を結ばせるのは、極めて困難なことなのです。
受信料契約の問題点
さて、そもそもNHK受信料制度はおかしな点が多いですね。契約自由の原則とか、財産権の問題とかいろいろあるわけですが、そもそもの契約締結の現場対応からして問題点があるわけです。
戸別訪問は詐欺の恐れも
いまどき、人の家を個別に訪問して契約を締結させるという仕組み自体が、時代遅れすぎて非効率です。こんなことをやっているのは今ではNHKくらいなものです。
というか、訪問勧誘は、今の時代は詐欺の可能性が非常に高いと思っています。なにしろ、お宅の玄関口に突然訪問してその場で契約書を書かせるわけですからね。
その訪問員が偽物で、契約書がとんでもない悪質な契約だったらどうするんでしょう。クレジットカードの番号とかも盗られる可能性がありますよね。
NHKの職員証なんて今時は簡単に偽造されそうですし(そもそも普通の人は本物の職員証がどんなものかも知らない)、契約書の内容だってその場で詳しく読んだりはできないでしょう。
直接訪問してその場で、というのは元々、詐欺とか悪徳営業のトラブルのリスクを多分にはらんだ危険なやり方なんですよね。
逆に、こういうのに疑いを持たずにホイホイとサインしちゃうようなリテラシーだと、詐欺にあったときに簡単に騙されちゃうんじゃないの? という気がします。
もっとまともにリスクのない方法を取るのであれば、やはり契約は書面で郵送でやるべきです。
集金屋の社会常識がおかしい
NHKの受信料契約の訪問員も、これは人によると思いますが、結構おかしな人がいたりします。
私が以前に一人暮らしをしていてテレビを持っていなかった頃、NHKの訪問員が何度かやってきました。テレビを持っていないのに当たり前のように受信契約を要求してくるんですが、そこはひとまず置いておきましょう。
その中の一人は、インターホンで出た途端に、いきなり放送法の規定を念仏のように唱え始めました。止めてください。怖いです。
またある人は、「公共料金でーす」と言いながらインターホン越しに訪ねてきました。名乗りもせずに。何の公共料金だよと。で、出るといきなり受信契約の契約書を出してくるんですよね。テレビの有無も確認せずに。押し売りと同じ手口過ぎてヤバいです。
そりゃ、全国に多数の訪問員がいるでしょうからそういう常識のない人も紛れているかもしれませんが、そういう非常識な人が紛れているリスクが現実にある以上、やはり訪問契約はやめた方が良いと思います。
そんなだから、居留守で無視されたり、玄関先に「NHK撃退シール」とか貼られちゃうんですよ。
受信料未払いなら放送を止めりゃいいじゃん
本質的にはやっぱりコレなんですよね。公共放送の意義だかなんだか建前も旧態依然で、世の中にこれだけ情報が浸透して溢れている今の時代、別にNHKの情報に特段の信頼性があるわけでもありませんので、実質的な社会的意義は大して存在しないんですよね。
受信料の未払い世帯については放送を止めれば良いのに。
水道や電気のような本当に生活に不可欠なインフラですら、料金未払いを続けたら止まるわけです。それと比べてもNHK放送にそこまで強制配信させるほどの重要性はありません。
もし受信料未払い世帯について放送を止めることにより、結果的にNHKを見ない層からの受信料の徴収規模が激減するようなことがあれば、NHKの存在意義と必要性はその程度だということです。むしろそれが適正な評価ということですね。減った受信料の範囲で細々とやれば良いのではないでしょうか。いらんドラマとか歌合戦とかに強制徴収の受信料を無駄遣いするのではなく。
私の対応
こういうことを書いている私は現状どのようにしているかというと、実は受信料を払っています(地上波のみ)。
なぜか。
それは、いままさにこの時期だけは、実際にNHKの番組を見ているからなんですね。
何を見ているかというと、Eテレです。子育て世代にとって「おかあさんといっしょ」や「いないいないばぁ」といった幼児向け番組は大変重宝する番組です。
これが一番の目的で、私は現在テレビを持っています。そういう事情ですから、子供がいなければテレビは無くても全く困りませんね。
私はEテレの番組の価値に見合うと思っているからこそNHK受信料を支払うことについて納得感を持っていますが、そうでなければ支払う気は起きませんよね。
さらに、私は別にEテレの番組を公共放送だとか特別なものとして見てはいません。あくまで世の中にいろいろあるコンテンツのひとつに過ぎないと思っています。
そのため、別にこれが無くなったからといってもそれほど困るわけではなく、ほかのコンテンツを探すだけです。無理にNHKの組織維持に協力してあげる必要はないんですよね。アンパンマンとか、NHK以外にも子供向け番組を放送しているところはあります。インターネットやDVD等でも子供向けのコンテンツはたくさんあります。
公共放送としてではなく、あくまで、コンテンツの対価としてお金を支払うからこそ納得感があるのです。公共放送の維持とかいうどうでもいい理由のために全く見ない放送局に対してお金を払うとなれば、納得感が得られないのは当然ですね。
なので、私は子供が成長してEテレをあまり見ないようになったら、テレビは捨てて受信料契約は解約すると思います。
その後は、テレビ放送受信機能の無い大きめのパソコンモニターを用意して、動画配信サービスのHuluとかを契約してしまえば、実際、何の不自由もなく充実した映像ライフが送れてしまうと思っています。
料金だってその方が断然安いですし。
なぜこんな記事を書いたのか
なんだかんだでNHK受信料を払ってるなら、なぜこんな記事をダラダラと書いているのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、テレビに関していえば、現状ではEテレのために受信料を払っているという対価性があり、その後は将来的にテレビを持たなくなれば、NHKに無駄に煩わされることはないでしょう。
しかし、心配なのはテレビだけではありません。とくにNHKが侵食してくると噂されているのが、ネットです。これは非常に厄介な問題です。
インターネットとNHK受信料問題
NHKは、配信対象をインターネットにも広げることで、ネットユーザーからも受信料を徴収しようとしています。
これは最悪です。
不要なコンテンツを押し付けて金を巻き上げる押し売り商法以外の何物でもありません。本当に止めて欲しいです。
こういう既得権益の中で勝手なことをやる組織がインターネットに関わると迷惑ですし、そんな中で今回の最高裁判決が出たので、今後のことも考えるとNHKへの反対意見はもっと出てきて良いと思います。
ちなみに、いまNHKがスマホ用にリリースしているオンデマンド用のアプリは、契約者だけが料金を支払う常識的な契約体系です。ネットでのNHKさんの役割はもうこれだけでいいんじゃないかな。
NHKのさらなるネット進出は今後の議論になってくると思いますが、もし不合理な契約が示唆された場合には明確に「NO!」を言うことで、これ以上おかしな制度が世の中にのさばらないことを願っています。
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