英語力を示す指標として代表的なものに、TOEICがあります。
TOEICは、賛否両論ありますが、なんだかんだで日本における英語関係のテストのスタンダードとなっていますよね。
TOEICのスコアだけでは英語力を測ることはできない、という意見もありますし、それには私も同感です。TOEICのスコアが高くても英語が喋れないなどという事例はいくらでもあり、それがこのテストの限界を示しているとも言えるでしょう。
そういう意味では、英語学習においてTOEIC至上主義になってはいけません。たとえTOEICで満点を取ったところで、それ自体にはたいした意味はないのです。
TOEICは英語の基礎力を測るテスト
しかし、逆に、TOEICのスコアは英語の基礎力が身についているかどうかを測る上ではとても有用であると思います。
少なくとも、TOEICで一定以上のスコアが取れないという場合には、おそらく英語の基本的な知識が十分に身についていないと判断することができます。
苦手分野の確認やネガティブチェックの方法としては、TOEICはなかなか役に立つのです。
その意味では、これから本格的に英語を勉強しようと考える方は、まずはTOEICで高得点を取ることを目標として勉強を進めると良いでしょう。
TOEICで十分なスコアが取れるようになれば、英語の基礎知識がおおむね身についていることになります。学習の進捗度を把握する上では、TOEICは大いに利用価値があるのです。
TOEIC高得点の英語力とはどの程度のレベルなのか
ところで、TOEICで高得点を取れるようになった段階というのは、英語力としてどの程度のレベルに達しているのでしょうか。
英語の勉強においてTOEICのスコアを目標に置く以上は、その目標が達成されたときにどのようなことができるようになっているのかをあらかじめ知っておくことは大切なことです。
ここでは、私自身の経験をもとに、例えばTOEICで800点を超えるようなスコアを取れるようになった段階で、英語を使ってできること、できないこと、などを例として挙げていきたいと思います。
英文記事や洋書が読めるようになる
TOEICのスコアを一定のレベルにまで上げることができたとき、まずは英文を読む力がついています。
人によっては、英語の文章を読むくらいなら受験勉強程度の知識でも十分対応できるだろうと思われるかもしれません。
しかし、実際のところ、英文を読む力というのはそうカンタンな話でもないのです。
長い英文を読むのは意外とつらい
実際に、例えばインターネットで英語のニュースを検索してみると分かるかと思いますが、ニュースを1記事読むだけでも意外と分量の多い英文を読まなければなりません。
長い英文を読むことに抵抗感があるようだと、こうした単発の英文ニュースを読むこともなかなか難しいのです。
ましてや、洋書などは何百ページにも及ぶ英文を読まなければなりません。これは、英文を読むことに慣れていないとそう簡単に取り掛かれるものではないのです。
この点、TOEICのようなテストで英文に慣れ、英語を読むことに対して抵抗感が薄くなっていれば、こうした長文にも臆することなく取り掛かることができるようになります。
世界中の情報を得るという意味で、実践的な意味での読む力というのはひとつ重要な能力なのです。
映画を字幕なしで観るのはつらい
一方、聞き取りについてはどうかというと、これは一筋縄ではいきません。
TOEICにはリスニングのテストもあるのですが、TOEICのリスニングテストの場合には想定されているシーンが日常会話やビジネスの会話にある程度限定されています。
そのため、比較的会話の展開をイメージしやすく、慣れれば聞き取りやすい内容となっています。
一方で、映画などではそうした一般的な場面に限られず、バリエーションに富んだ会話が展開されます。知らない単語や聞き慣れない表現も頻繁に出てきます。
すると、会話のテンポについていくことができず、置いて行かれてしまうことが多くなります。
そういう意味で、バリエーションに富んだ会話についていくには、TOEICだけではまだ語彙力が不足している状態といえます。
流暢に会話はできない
さて、TOEICで高得点を取れる人は英語がペラペラに話せるかというと、そんなことはありません。
そもそも、従来のTOEICテストはリスニングとリーディングのみで会話は範疇外でした。そのため、TOEICのスコアは会話力に関してはほとんどあてにならないのです。
よって、英会話に関しては、TOEICとは別で練習をしていく必要があります。
なお、最近ではTOEICでもスピーキングとライティングの分野のテストがありますので、これを利用するというのもひとつの方法かもしれません。
学校や会社で英語力を評価される
おそらくですが、TOEICで高得点を取ることの最大の効用はこれだと思います。
いまや英語は学生から社会人まで幅広い年代層において求められる能力となっています。それだけ、英語を使ったコミュニケーションが増えているということでもあると思います。
こうした外部環境において、TOEICで高得点を取得しているということは英語の基礎的な能力が身についていることの証明になり、対外的なアピールに繋がります。
すると、組織の中においては、英語のできる人に、より英語を使うような役割が与えられ、これが英語力をさらに向上させるためのチャンスになるのです。
例えば、海外留学であるとか、海外出張、海外赴任などについて、希望すれば実現できるチャンスを優先的に得ることができるわけです。
このように、組織の中で英語のできる人、という評価を確立することができれば、より貴重な機会を獲得することができます。こうした場合に、TOEICのスコアは数値的な証拠として利用価値があるのです。
まずはTOEICで800点を目指そう
以上のとおり、英語の勉強の初期段階では、TOEICのスコアを伸ばすことを目標とするのが良いでしょう。
だいたい800点程度のスコアを目指すのが良いと思います。TOEICで800点が取れれば知識面ではおおむね不安がない状態になりますし、英語に対してある程度の自信を持つこともできます。
そこから先の、900点以上スコアについては、特にTOEICを意識しなくても、英語の勉強を継続していけば自然と達成できるものです。そのため、とりあえず800点あれば、もうあまり必要以上にTOEICのスコアにこだわり続けるべきではありません。
まずは、TOEICのスコアの目標を800点におき、これを達成できたら一旦TOEICは卒業して、次のさらなる実践的な英語力の向上に向けた勉強に切り替えていくのが良いと思います。
コメント